はじめにお伝えすると、
私は、学生の頃19世紀、20世紀以降の西洋美術を中心に学んだことから、
近代、現代周辺の美術作品に興味関心が偏っています。
また美術館で展覧会を観るとなると、作品を一つ一つじっくり観るというより、展示空間における作品の見え方や、展示方法、展覧会のコンセプトなどが気になってしまい、私がこれはオススメの展示だなと思っても、あまり美術を詳しくない方や、小学生や、5歳の女の子が見て感動できるか、、、、かなり疑問です。
けれど最近、生徒さんや親御さんたちと美術の話をすることで、そういう自分の偏ったアートの見方にようやく気付かされることが多々あり、多くの人がどのように人が美術を見ているか、興味を持っているかを改めて気づかされ、教わることができてとても感謝しています。
それこそ以前は、私の好きな20世紀美術のモダンアートやコンセプチュアルアートにどうしてみんな感動しないんだろう?と、本気で思ってましたが、前後の美術の文脈や作者の意図を知らないと、
普段にアートに関わることのない人がいきなり感動できるわけないとようやく気づき、アートを教える先生としての未熟さを反省しています。
少し補足すると
コンセプチュアルアートが生まれる背景には、時代の変化や、戦争による人々の意識の変革があり、それまでの常識を疑うことや、過去を否定し、新たな未来に突き進む想い、これまでにないようなアートを作るべきという理想が掲げられています。そうした背景を元に、芸術家それぞれが自らの思考をさまざまな手法で作品を作ります。
それは芸術家からの問いかけであり、観る人はそれについて考えを巡らしたり、何か思ったりします。
その作者と観る側のやりとりが一番肝だったりするのですが、ついつい人間はわかりやすい答えを求めがちなので、そんな禅問答になかなか付き合ってもらえず、退屈で不快なアートと思われてしまう可能性も大です。
話を戻して、美術作品を観ることはとかく難しいと思われがちです。
確かに観てて理解するのに難しいものありますが、単に楽しめるものもありますし、新鮮な感覚を与えてくれるものもあります。
みなさんにもっと美術鑑賞に広く興味を持ってもらいたいと思う気持ちがあるので、
とりあえず私が最近見た展覧会について好きに書こうと思います。
ポンピドゥーセンター傑作展
フランスパリにあるモダンアートの美術館ポンピドゥーセンターのコレクションを観ることができる
展覧会です。
1900年代を1年ごとに区切ってその年にパリ周辺で活躍した芸術家によって作られた作品と作者の言葉が一緒に展示されています。それをつなげて観ることで時代を映す連続したレイヤーとなり、当時のアートの流れやパリを中心に活躍した芸術家たちの思想を眺める企画になっています。
当時のアーティストたちは、目に映るものを古典的な遠近法ではなく、自らの視点で新たに描き出すことに注力していました。印象派や、後期印象派、抽象絵画、未来派、さまざまな芸術の思想や主義や絵画表現が生まれた時代です。ブランクーシや、ジャコメッティ、ピカソ、マティス、ボナール、ゴーギャン、フジタ、ディビュッフェ、デュフィ、などの優れた芸術家の作品が一同に並びます。映像作品「ラジュテ」もあり、この時代に作られたんだ!とか思ったりします。
中ではピカソの「私は日記を書くように絵を描いている。」と言葉が心に響きます。
東京都庭園美術館
「こどもとファッション」
こども服のファッションの歴史と変遷をたどる展示企画です。
庭園美術館は展示空間としてエレガントで素晴らしいのですが、
展示は、正直、もったいない、、なと思ったりします。
今回も西洋のこども服の歴史に焦点を当てた企画自体の面白さはありますが、、、
もっと魅力的に、感情的に訴える方法もあるのではと思います。
こどもが実際に着て室内をブラブラ歩き回っていたら、もっとファッションの魅力が伝わるのではと思いました。
松本市美術館
草間彌生 常設展示
草間彌生のために作られたような美術館にある常設展です。
初期の油絵からアクリルによるオールオーバーな絵画、インスタレーションがあります。
2000年頃、草間彌生が日本でブームになったことを思い出しつつ、今改めて、作品を観ると、
作品の素晴らしさ、かっこよさ、分かりやすさに感動します。
とくにアクリルによる絵はすばらしく見やすい作品です。
説明の必要もなく、テクニックを見せつける感じもなく、
誰もがいいと思えるストレートな表現です。
アメリカで活躍した数少ない日本人女性アーティストのずば抜けた表現力です。
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